今日は、介護現場での家族の関わりについて考えてみましょう。
特に、「介護をすると言って介護をしてくれない家族」がいる場合、利用者支援をどのように進めるべきか、悩むことが多いです。
新人ケアマネージャーへの支援として、どのように対応すれば良いのでしょうか?
家族の介護意識と現実のギャップ
介護保険サービスを利用する際、キーパーソンとなる家族を決めることが一般的です。
しかし、家族間の関係性や介護に対する意識の違いから、実際の介護が思うように進まないケースも少なくありません。
例えば、家族が介護を約束しても、実際には介護を行わない、または行えない状況が生じることがあります。
このような場合、利用者本人の生活に支障をがあるうえに、ケアマネとしての支援計画にも影響を及ぼします。
家族関係の複雑さ
家族の関係性は多様で、親子・配偶者・兄弟姉妹など、その形態はさまざまです。
特に、義理の関係(姑と嫁など)では、表面的には良好に見えても、内心では不満やストレスを抱えていることもあります。
そのため、家族が介護を引き受けても、実際には心理的な抵抗や負担感から、介護が十分に行われないことがあります。
家族の本音を引き出す
家族が介護を拒否する背景には、過去の人間関係や現在の生活状況、経済的な問題など、さまざまな要因が絡んでいます。
ケアマネージャーとしては、しっかりアセスメントをしたうえで、家族の本音を引き出し、真のニーズや問題点を把握することが重要です。
そのためには、家族との信頼関係を築き、安心して話せる環境の提供が求められます。
家族の介護拒否への対応策
家族が介護を拒否する、または十分に行わない場合、以下の対応策が考えられます。
外部の介護サービスの導入
家族の負担軽減には、外部の介護サービスを積極的に導入することが効果的です。
訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、多様なサービスを組み合わせることで、利用者の生活の質を維持しつつ、家族の負担を軽減できます。
特に、家族が介護に消極的な場合、外部サービスの利用は不可欠です。
外部の相談窓口の活用
家族が介護を拒否する背景には、精神的・経済的な負担のほか、介護に関する知識不足や先の見えない不安が関係していることが多いです。
そのため、ケアマネージャーが関わるだけでなく、第三者の専門機関に相談できる環境を整えることが重要です。
相談窓口の種類と活用方法
外部の相談窓口には、さまざまな機関があり、状況に応じた適切な支援を受けることができます。
以下に、代表的な相談窓口を紹介します。
- 地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者やその家族を支援するために設置された公的機関です。
介護に関する相談だけでなく、家族関係の調整やサービス利用のアドバイスなども行っています。
また、家族介護者の負担軽減を目的とした介護教室や支援グループの紹介もしてくれるため、積極的に活用するとよいでしょう。 - 介護の無料相談窓口(民間機関)
介護に関する情報を提供する民間の相談窓口もあります。
特に、介護サービスの選択や家族間のトラブルについて専門の相談員が対応する窓口があり、具体的な解決策を提案してくれるケースもあります。 - 介護者のための支援団体
家族介護者向けの支援団体も全国各地にあり、介護に関する悩みを共有できる場を提供しています。 - 介護保険の相談窓口(市区町村)
介護保険に関する相談は、市区町村の福祉課や介護保険課で受け付けています。
介護サービスの申請方法や介護度の見直し、利用できる制度についてのアドバイスを受けることができます。
相談窓口を活用するメリット
家族が介護を拒否している場合、第三者の専門機関に相談することで、以下のようなメリットがあります。
- 客観的な意見が得られる
家族だけでは解決が難しい問題に対して、専門家の視点から適切なアドバイスを受けられます。
- 適切な支援策を提案してもらえる
家族の状況に応じた具体的な支援策や、利用可能な制度について知ることができます。
- 家族の心理的負担を軽減できる
相談することで介護の悩みを共有でき、孤独感を和らげることができます。
- 公的支援につなげやすい
行政機関と連携することで、利用者本人や家族にとって最善の支援策を講じることが可能になります。
サービス利用の提案方法
サービス導入にあたり、家族にメリットや具体的な内容を丁寧に説明することが重要です。
例えば、「デイサービスを利用することで、利用者様が社会的交流を持ち、生活に張りが生まれます」といった具体的な利点を伝えることで、家族の理解と協力を得やすくなります。
家族支援の強化
家族が介護を行わない背景には、介護に対する不安や知識不足、過去の人間関係の問題などが考えられます。
そのため、家族自身への支援の強化が重要です。
具体的には、介護に関する情報提供や相談窓口の紹介、家族向けの介護教室の案内などが効果的です。
家族の心理的サポート
家族が介護を拒否する理由には、心理的な負担やストレスが考えられます。
ケアマネージャーとしては、家族の気持ちに寄り添い、共感する姿勢を持つことが大切です。
また、必要に応じて専門のカウンセリングやサポートグループを紹介することで、家族の心理的負担を軽減することができます。
まとめ
家族が介護を拒否する場合、ケアマネージャーだけで解決しようとせず、外部の相談窓口を活用することが重要です。
地域包括支援センター、市区町村の福祉窓口、民間の無料相談サービス、介護者支援団体など、状況に応じた適切な機関に相談することで、専門的なアドバイスを受けられ、家族の負担軽減や問題解決につながります。
また、第三者の意見を取り入れることで、家族も客観的に介護の現状を見直すきっかけになり、支援が必要な場合の適切な対応を検討しやすくなります。
ケアマネージャーとしては、家族だけで抱え込まないようサポートし、利用者にとって最適な介護環境を整えていくことが大切です。
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