「透析を受けなければ命に関わると言われたが、本人が拒否している…」
そんな状況に直面し、どうすればよいのか悩んでいるご家族も多いのではないでしょうか?
この記事では、透析を拒否した場合の影響と、家族ができるサポートについて解説します。
腎不全は進行すると透析が必要になる病気ですが、患者本人が拒否した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?
また家族としてどう対応すればよいのかを整理していきます。
この記事で分かること
1.透析を拒否した場合に起こる身体の変化とリスク
2.患者の心理と、家族が直面する精神的負担
3.透析以外の治療選択肢と、家族ができるサポート方法
はじめに
透析を受けなければならないと言われたけれど、本人が拒否している…。
このような状況に直面したとき、家族としてどのように対応すればよいのでしょうか?
この記事では、透析を拒否すると具体的にどのような影響があるのか、また、なぜ患者は透析を拒否するのかについて解説します。
さらに、家族がどのようにサポートすればよいのかについても考えていきます。
透析を拒否する理由とその影響
「透析をすると自由がなくなるのでは?」「痛みや負担が大きいのでは?」といった不安を抱えていることが多いです。
しかし、透析拒否で体にどのような影響があるのかを理解しておくことはとても重要です。
腎不全と透析の基礎知識
腎不全とは?
腎不全とは、腎臓の機能が低下し、体内の老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなる状態です。
これにより、体内に有害な物質が蓄積し、さまざまな健康問題を引き起こします。
腎不全の症状
腎不全の主な症状には、以下があります。
・むくみ:体内に余分な水分が溜まり、手足や顔が腫れることがあります。
・疲労感:老廃物の蓄積で、常に疲れを感じることがあります。
・息切れ:体内の水分バランスの乱れや貧血で、息切れを感じることがあります。
・食欲不振:老廃物の蓄積で、食欲が低下することがあります。
腎不全の進行により、症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたすようになります。
最終的には、生命を維持するために腎臓の機能を代替する治療が必要となります。
腎不全の進行を遅らせるには?
腎不全の進行を遅らせるためには、以下のような対策が重要です
- 食事療法:塩分やタンパク質の摂取を制限し、腎臓への負担を軽減します。
- 血圧管理:高血圧は腎臓の機能をさらに低下させるため、適切な血圧管理が必要です。
- 血糖値管理:糖尿病が原因の場合、血糖値のコントロールが重要です。
しかし、これらの対策を行っても、腎臓の機能が著しく低下した場合、透析療法が検討されます。
腎不全の種類
腎不全は急性と慢性の2種類に分類されます。
急性腎不全:突然の腎機能の低下で、適切な治療により回復する可能性があります。
慢性腎不全:長期間にわたる腎機能の低下で、進行性により最終的には末期腎不全に至ります。
腎不全の主な原因
慢性腎不全の主な原因には、以下のものがあります。
- 糖尿病:高血糖が腎臓の血管を傷つけ、機能低下を引き起こします。
- 高血圧:高血圧により腎臓の血管が損傷し、機能が低下します。
- 慢性糸球体腎炎:腎臓のフィルター部分である糸球体の炎症が原因です。
腎不全の進行度は、腎臓がどれだけ血液をろ過できるかを示す「推算糸球体濾過量(eGFR)」で評価されます。
eGFRの値が低いほど、腎機能の低下が進んでいることを示します。
症状と進行の過程
腎不全の進行に伴い、以下のような症状が現れることがあります。
初期:自覚症状がほとんどないことが多いです。
中期:疲労感、むくみ、頻尿や夜間頻尿、尿の泡立ちなどが見られます。
末期:息切れ、食欲不振、吐き気、皮膚のかゆみ、意識障害など、全身に深刻な症状が現れます。
腎不全が末期に進行することで、腎臓の機能が10%以下に低下し、体内の老廃物や水分の排出がほとんどできなくなります。
この状態では、生命を維持するために透析療法や腎移植が必要となります。
患者が透析を拒否する心理
透析を拒否する患者さんの心理には、以下のような要因が考えられます。
- 治療への不安や恐怖
透析は週に数回、数時間にわたる治療が必要で、体への負担も大きく、痛みや不快感への恐怖を感じることがあります。 - 生活の変化への抵抗
透析治療により、これまでの生活リズムが大きく変わるため、自由な時間が制限されることへの抵抗感があります。 - 自己決定の尊重
自分の人生や治療方針を自ら決めたいという強い意志から、透析を拒否することがあります。
これらの心理的要因は、患者一人ひとりの価値観や生活背景によって異なります。
そのため、医療者や家族が患者さんの気持ちを理解し、適切な情報提供やサポートを行うことが重要です。
家族にかかる精神的負担
患者さんが透析を拒否することで、家族にも大きな精神的負担が生じます。
主な負担には、患者の決定に対する理解と葛藤、介護負担の増加、社会的・経済的負担などがあります。
これらの負担を軽減するためには、家族自身も医療ソーシャルワーカーやカウンセラーなどのサポートを受けることが重要です。

家族ができるサポートと選択肢
腎不全の患者さんが透析を拒否する場合、家族としてどのように支援し、どのような選択肢があるのかを理解することが重要です。
ここでは、透析以外の選択肢や、医療チームとの連携について解説します。
透析以外の選択肢はあるのか?
透析を行わない場合、主に「保存的治療」と「緩和ケア」の2つの選択肢があります。
保存的治療と緩和ケア
保存的治療:腎臓の機能低下を遅らせ、症状を管理する治療法です。
食事療法や薬物療法、血圧管理などが含まれます。
これにより、腎臓への負担を軽減し、生活の質を維持することを目指します。
緩和ケア:病気の進行に伴う苦痛や不快な症状を和らげ、患者さんの生活の質を向上させるケアです。
身体的な痛みだけでなく、心理的・社会的なサポートも含まれます。
緩和ケアは、病気のどの段階でも提供され、患者さんと家族の両方を支援します。
これらの選択肢を検討する際には、患者さんの意思や価値観を尊重し、医療チームと十分に話し合うことが大切です。
医療チームと家族の連携
患者さんのケアを最適に行うためには、医療チームと家族の密な連携が不可欠です。
相談できる機関と支援サービス
医療ソーシャルワーカー
医療機関に所属し、患者さんや家族の相談に応じ、社会的・経済的な支援を提供します。
例えば、医療費の助成制度や介護サービスの紹介などがあります。
全国腎臓病協議会(全腎協)
腎臓病患者さんやその家族のための相談窓口を設けています。
専門家による電話相談やメール相談を利用することができます。
地域包括支援センター
各自治体に設置されており、高齢者やその家族の相談に応じ、必要な支援やサービスを提供します。
介護保険の利用や福祉サービスの紹介など、幅広いサポートを行っています。
これらの機関やサービスを活用し、情報収集や相談を行うことで、患者さんにとって最適なケアを提供することが可能になります。
家族としては、患者さんの意思を尊重しつつ、医療チームや支援機関と連携して、最適なサポートを提供することが求められます。
適切な情報収集と相談を通じて、患者さんの生活の質を維持・向上させることが可能です。
まとめ
腎不全の患者が透析を拒否する場合、家族として冷静に向き合い、最善の選択肢を考えることが重要です。
透析の影響や代替治療の可能性を理解し、医療チームと協力しながら適切な対応をしていきましょう。
透析拒否に対する家族の対応ポイント
1.透析拒否の理由を理解する
2.透析を受けないリスクを把握する
3.保存的治療や緩和ケアを検討する
4.医療チームと連携し最善策を探る
5.家族自身の負担も軽減する工夫をする
患者の意思を尊重しながら、医療的な選択肢を知り、家族としてできる限りのサポートを提供しましょう。
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