介護認定で思っているよりも軽い介護度が出てしまうことはありませんか?
要介護認定を決定するのは、各市町村にある介護認定審査会です。
これは、介護認定審査会でのポイントと本人や家族の介護認定に関する考えが違っていると考えられます。
今回は、介護認定の仕組みや見直し方法、介護度が上がると受けられるサービスの違いについて解説します。
認定結果に納得できない場合の対処法や、家族ができるサポートのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
要介護認定とは?基本的な仕組みをおさらい
要介護認定の流れと基準
要介護認定は、市区町村が行う審査で要支援・要介護の度合いを決定する制度です。
調査員の訪問調査と医師の意見書をもとに、審査会で介護度が決まります。
要介護認定は、本人の状態を客観的に評価するための仕組みですが、訪問調査や医師の意見書の内容次第で結果が変わることがあります。
そのため、適切な情報提供が重要です。
例えば、普段は家族が手伝っているため本人が「できる」と答えてしまうと、実際の介護度より軽く判定されることがあります。
また、医師の意見書が簡潔すぎると、認定審査で十分な情報が伝わらず、介護度が低くなる可能性があります。
要介護認定の流れを理解し、調査時には適切な情報を伝えることが大切です。
要支援・要介護の違い
要支援と要介護では受けられるサービスが異なり、認定結果によって生活の支援内容が大きく変わります。
要支援1・2は比較的軽度の状態で、介護予防が目的のサービスが中心になります。
一方、要介護1以上になると、より幅広い介護サービスを利用できるようになります。
例えば、要支援の方は生活のちょっとした支援(買い物や掃除など)が中心ですが、要介護になると入浴介助や食事介助などの手厚いサービスを受けることが可能になります。
介護度によって利用できるサービスが変わるため、認定結果が適切であることが重要です。
認定結果に納得できないケースとは
要介護認定の結果に納得できない場合は、見直しを求めることが可能です。
調査時の受け答えや医師の意見書の内容が正確に伝わらないと、実際の状態よりも低く判定されることがあります。
例えば、調査員が訪問した際に「普段は手伝ってもらっているが、今日は調子が良い」と本人が答えてしまい、要介護ではなく要支援と判定されることがあります。
また、認知症の症状が軽視されるケースもあります。
認定結果に違和感がある場合は、再審査の申し立てを担当のケアマネジャーに相談しましょう。
要介護認定で介護度が低く判定される理由

訪問調査で見落とされがちなポイント
訪問調査時の受け答えや家族の対応によって、介護度が低く判定されることがあります。
調査員は本人の様子や受け答えをもとに判断するため、実際の介護の大変さが伝わりにくいことがあります。
特に「普段は家族の介助があるが、本人が頑張りできる」と答えてしまうと、実態よりも軽いと判断されてしまいます。
また認知症のある方が調査の場では「大丈夫」と答えてしまい、実際の介護負担が正しく伝わらないケースがあります。
家族が普段の状況を詳しく伝えなければ、実際の負担が軽視される可能性があります。
訪問調査の際は、普段の状況を正しく伝えることが重要ですので、少しでも介助を受けていることがあれば、しっかりと伝えるようにしましょう。
医師の意見書の影響とは
医師の意見書は介護認定に大きな影響を与えるため、正確な記載が重要です。
医師の意見書には、身体機能や認知機能の状態が記載されますが、簡潔すぎると実態が十分に伝わらず、低い介護度が判定されることがあります。
主治医には普段の様子を詳しく伝え、適切な記載をしてもらうことが大切です。
本人の「できる」と家族の認識のズレ
本人の「できる」と家族の考える「できる」が異なることで、実際よりも軽い介護度と判定されることがあります。
本人は無理をして「できる」と答えることが多く、調査員がその言葉をそのまま受け取ると、適切な介護度が判定されないことがあります。
例えば、トイレに行けると言っても、実際は時間がかかり、転倒のリスクがあるために家族が付き添われている場合があります。
また、食事が自分でできると言っても、むせやすく誤嚥の危険があり家族が介助されている場合もあります。
本人の発言だけでなく、普段の生活状況を家族がしっかり補足することが重要となります。
介護認定の見直しを求める方法

不服申し立ての流れと手続き
要介護認定の結果に納得できない場合は、不服申し立て(再審査請求)が可能です。
要介護認定は市区町村が行う制度ですが、結果に不満がある場合は都道府県の「介護保険審査会」に申し立てることができます。
これにより、もう一度審査が行われ、必要に応じて介護度が見直されます。
例えば、要支援2と判定されたが、実際は日常生活での介助が必要な場面が多く、要介護2に該当するはずだと考えられる場合、申し立てを行うことで再評価される可能性があります。
不服申し立てには期限(通常60日以内)があるため、早めに市区町村の窓口で手続きを確認しましょう。
ただし、認定調査が来られた時にしっかり伝わっていないと考えられる場合には、区分変更申請を行い、今度はしっかり伝えるようにすることも重要です。
主治医やケアマネと相談する重要性
要介護認定の見直しを求める際は、主治医やケアマネジャーと連携することが重要です。
認定審査では「医師の意見書」が大きく影響するため、主治医に現在の状態を正確に伝えておくことが大切です。
また、ケアマネジャーは介護状況を把握しており、適切なアドバイスをくれるため、相談することで再申請の準備がスムーズに進みます。
認定結果に疑問を感じたとき、ケアマネジャーに相談すると「認定調査でこの部分が正しく伝わっていなかったかもしれません」といった具体的な指摘をもらえることがあります。
また、主治医に相談することで、次回の意見書により詳しい内容を記載してもらうことも可能です。
認定見直しをスムーズに進めるためには、専門家との連携をしていくようにしましょう。
再申請を有利に進めるための準備
要介護認定の再申請を行う際は、事前に十分な準備をすることで有利に進めることができます。
訪問調査では、本人の実際の生活状況が正しく伝わらないと適切な介護度が認定されにくくなります。
そのため、普段の介護の様子を詳細に記録し、調査員に的確に伝えることが大切です。
再申請前に以下のような準備をすると、より適正な判定を受けやすくなります。
- 介護の記録をつける
- どのような介助が必要か(例:食事の際にスプーンを使えない、入浴に介助が必要など)を記録する。
- 動画や写真を活用する
- 転倒しやすい様子や、日常生活で困難な場面を写真や動画で記録し、調査員に見せる。
- 主治医と話し合い、詳しい診断書を作成してもらう
- 医師に普段の生活の状況を詳しく伝え、意見書に反映してもらう。
- ケアマネジャーと相談し、ポイントを整理する
- 訪問調査時に伝えるべき内容を事前に整理する。
適切な介護認定を受けるためには、事前準備が重要です。
普段の状況をしっかり記録し、主治医やケアマネジャーと連携して再申請に備えましょう。
介護度が上がると受けられるサービスの違い
要介護度が変わるとどう変わる?
介護度が上がると、利用できる介護サービスの範囲が広がり、支援の内容が充実します。
介護保険では、要支援1・2と要介護1~5で利用できるサービスが異なります。
要介護度が高くなるほど、訪問介護や福祉用具のレンタル、施設サービスなどが利用しやすくなります。
具体例な内容とは?
- 要支援1・2:主に介護予防が中心で、軽度の生活支援がメイン(例:掃除、買い物の手伝い)。
- 要介護1~2:デイサービスや訪問介護の利用が可能になり、入浴・食事などの介助も受けられる。
- 要介護3以上:特別養護老人ホームへの入居が可能になり、介護が必要な人向けの手厚い支援が受けられる。
要介護度が上がると利用できるサービスが増え、本人や家族の負担軽減につながります。
サービスの選択肢を広げるための工夫
介護サービスを最大限活用するためには、ケアマネジャーと相談しながら適切なプランを立てることが重要です。
介護度が上がっても、適切なサービスを選ばなければ、十分な支援を受けることができません。
ケアプランを見直し、必要なサービスを積極的に活用することが大切です。
具体例には、訪問介護などのサービスを増やすことや福祉用具のレンタルなどを利用しましょう。
サービスを上手に組み合わせることで、介護度が上がったとしても快適な生活を維持することが可能です。
家族ができるサポートのポイント
介護度が上がった際、家族は適切なサービスを活用しながら、無理なくサポートを続けることが大切です。
介護度が上がると、家族の負担も大きくなる可能性があります。
全てを家族が担うのではなく、介護保険サービスを利用しながら、長期的に支えることが重要です。
家族だけで抱え込まない
- 家族だけで頑張りすぎない:訪問介護やショートステイなどを利用し、介護負担を軽減する。
- 本人の意思を尊重する:急に環境を変えるのではなく、本人の希望を聞きながら支援する。
- 地域の支援を活用する:自治体の介護相談窓口や地域包括支援センターを活用する。
家族が無理なく介護を続けるためには、適切なサービスを活用しながら、本人と家族双方にとって最善の方法を考えることが大切です。
介護認定の前には、本人以外の人がどんなことを手伝っているかをしっかり確認しておきましょう。
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